column

住まいづくりワンポイントアドバイス

2025.02.20

最近の家の窓サイズ

「最近の家は窓が小さく少なくなっていませんか?」という質問を良く受けます。たしかに昔に比べ窓が小さく少なくなっているように感じますが、理由として考えられる一つに「省エネ」、「高耐震」があります。「省エネ」に関しては、地球環境の変化から国の基準も幾度となく改訂され、本年4月からは全ての住宅に高い省エネ性能を求めることが義務化されることになっており、また、「高耐震」については、我が国ではここ30年内に震度7以上の大地震が4回も発生し、今後30年内に80%の確率で「南海トラフ大地震」も予想されており、エンドユーザーが耐震性を重視した設計を求める傾向が強くなっています。

国もエンドユーザーも求める「省エネ」と「高耐震」、これらを両立するための延長線上に、窓を小さく少なくし、壁・柱を多くする設計があります。というのも、省エネ性を高めるには室内の熱を外に逃がさない工夫をすることですが、住宅における熱損失の7割が窓であり、窓を高断熱化するか、小さく少なくすることが設計上合理的だからです。「高耐震」もしかりで、耐震性を高めるには壁や柱を増やすことが必要ですから、結果として窓が小さく少なくなる傾向になります。

加えて、時代背景や住環境が変わってきたことも影響していると思います。様々な社会問題から年々防犯やプライバシーを重視する考えが強くなっており、防犯性を高めるために外部と接する窓を小さく少なくしています。また、プライバシー確保の為に窓を小さく、外から見えない場所に設置するようになります。加えて、昨今のインフレで高騰する建設費のコストダウンを図るために、高価となる高断熱性能の窓を極力少なくするような設計になっているように感じます。

様々な要因が複合的に絡み合い、結果として最近の家は相対的に窓が小さく少なくなっているのです。一昔前までは、日本の暑い夏をいかに涼しく過ごすかを考え、窓はできるだけ大きく、少しでも風通しの良いように多く取る設計でした。技術革新が進み、便利で快適な生活を過ごせるようになった反面、それに伴う地球環境や生活環境の変化が住宅の設計に影響を及ぼしているのです。新築住宅を見れば、我々が直面している課題を知ることができるのかも知れませんね。

 

2025.01.20

住宅会社のホームページ

インターネット時代になって20数年、今やあらゆる情報はインターネットから収集することができるようになりました。また、ネット上に情報を公開している企業も会社情報を細かく公開することで企業としての考えや訴求したいことをアピールする場として積極的に活用しています。

住宅会社もしかりで、自社の施工方法を分かりやすく伝え、自社の強みや他社との差別化を図り、実際に建てた建築事例の紹介や携わるスタッフの紹介、イベント情報や会社のこだわりなどをHPに掲載しています。実際、住宅会社のHPを見れば、住宅会社の考えていること、社風や強み、こだわりなどを感じ取ることができます。

住まいづくりにおいて住宅会社の情報を知ることはとても大事です。どんな仕事をしているのか、強みやこだわりは何なのか、何が(デザインor設計)が得意なのかを知れれば、住宅会社の選定もしやすくなりますし、高額な住宅建築を任せる先として、企業情報やスタッフ情報を知っておくと安心できると思います。

HPの注目点としては、一つは施工実例です。施工実例を見れば住宅会社の特徴も分かり、興味を持てる会社なのか判断できます。また、施工実績数は建築会社の信用度を表しますし施主との関係性も分かります。二つ目に会社情報です。高額な住宅建築を依頼する先として、設立年月日や資本金、経営者の経歴や考え方、スタッフのプロフィールは確認するべき点だと思います。また、情報発信(ブログやSNS)を積極的にしている会社ならば、仕事の姿勢や考え方をうかがい知ることもできます。

HPを「会社の顔」と捉えるなら、デザインや見やすさ分かりやすさ、掲載している写真や内容から、その会社のセンスも感じ取れます。住まいづくりのパートナーを選ぶ上で大事なのは、施主とフィーリングが合うか否かですから、それをHPから感じれとれれば、候補の会社としてピックアップして良いでしょうか。

現在のような情報化時代では情報発信は当たり前であり、それができない企業は市場から淘汰されてしまいます。ある意味、市場への情報提供はエンドユーザーに対する企業姿勢の表れと言っても過言では無いと思います。提供される情報全てが真実であるかは分かりませんが、先ずはHPからの情報で興味が湧けば、直接会って言葉を交わし確認するというプロセスを踏んでみて下さい。

2024.12.25

金利上昇を見据えた住宅ローン

住宅ローンの金利は昨年ぐらいから少しずつ上がり基調になっていますが、これは、政府・日銀が目指していた「デフレ経済」からの脱却が見通せてきたことによるものです。目標とする年2%程度の物価上昇と賃金上昇の好循環が達成されつつあることにより、ゼロ金利政策が解除となり金利も少しずつ上がり始めたのです。長い間超低金利であった住宅ローンの金利もこの影響を受けて上昇傾向になっています。

住宅ローンを利用する方にとって最大の関心は金利の動向です。多額の借入金を長期で支払う住宅ローンでは金利が少し上がるだけでも総支払額に大きな影響が出てくるからです。利用者にとって金利は少しでも安く、良い借入条件で借りたいと考えるのは当然のことであり、住宅取得においても重要な要素の一つとなっています。

超低金利時代は借りる方の6割~7割が変動金利を利用していました。固定金利に比べ半分程度の金利であり、基準となる金利(短期プライムレート)が長らく変動しなかったからですが、金利上昇の局面になってきた今日では変動金利のリスクがクローズアップしてきます。

住宅ローンの変動型金利は半年ごとに見直されますので金利が上昇すれば当然返済額は上昇します。しかし、多くの金融機関では金利が上昇しても毎月の返済額が急激に上がらぬよう、「5年ルール」、「125%ルール」という制度を適用しています。「5年ルール」は5年間返済額を変えない、「125%ルール」は返済額が上がっても125%以上には上がらないというルールですが、利息を減免してくれている訳ではないので上昇した金利で生じた未返済利息や元金についてはローンの最終段階に一括返済で支払わなければなりません。

この未返済分が変動金利における最大のリスクです。長く続いた「デフレ経済」の中では「金利を上げることができない」ことが続いていましたので、「金利は上がらない」ことが当たり前になっていましたが、今日のような状況になれば当然金利は上昇しリスクは顕在化します。変動型金利を選択する場合、このリスクに対し対処を考えておかなければならないのです。

住宅ローンは長期間支払うことで成り立つものです。また、住居費(ローン)は家計に占める割合も大きく、可能な限り安定していることが望ましいものです。それらを踏まえた上で、自らの職業や収入形態、ご自身の性格も考慮し、支払い方法の選択をするということが大切だと思います。

2024.11.20

SNSを活用した家づくり

インターネットの普及により様々な情報を誰でも簡単に得られるようになりました。また昨今、情報発信ツールとしてSNSが爆発的に普及し、誰でもどこでも情報発信をすることができるようもなっています。その結果、ネット上には大量かつ様々な情報が溢れています。

私は様々な場所で直接面談して住まいづくりの相談を受けていますが、最近では、「SNSでこんな話が出ていたのですが…」、「SNSで〇〇〇〇と言ってました…」などの質問を多く受けるようになりました。SNSの影響力は大きく、今やSNSが多くの方の情報源になっているということを実感しています。

SNSは情報収集ツールとしては非常に優れていますので、そこから得た情報を家づくりの参考にすることは悪くありませんが、発信されている情報の中には信義が疑わしいものや収益を目的としたもの、中には中傷まがいなものもあり、発信されている情報の目的が何であるのかを見極める必要があります。

また、SNSの運営者は、現状、情報の公序良俗をコントロールしていませんので、情報を目にする利用者自身が、その情報を自分にとって有益であるかを判断しなければなりません。もちろん、SNS発信者の中には責任ある立場で顔を出し、有益な情報を発信されている方もいらっしゃいますし、説明が分かりやすく受け入れやすい、何度でも見直せることなどで理解力が高めれるというメリットもあります。

SNSは上手く活用すれば有益な情報ツールになる反面、情報を鵜呑みにしてしまうと間違った解釈をしてしまう恐れもあります。情報はあくまでも発信者の主観的考えによって提供されているものとして捉え、皆に共通するものでは無いという観点を持っておくことが必要です。

情報に振り回されないように気を付けることが大事であり、SNSの情報もあくまで一つの情報源として捉え、他の情報と比較したり時には別の場所で別の形で情報の精度を確認するなどして下さい。情報は、それを利用する人によってその有益性が変わりますので、利用する方がどう活用するかがポイントになると思います。

文:中川雄二

2024.10.20

災害に強い家とは?

我が国日本は先進国の中でももっとも災害の多い国と言われています。地震、台風、大雨、大雪など、様々な自然災害のリスクにさらされているだけに、災害に強い家を求めることはある意味必然です。生命と財産を守ることが家の最大の使命であることを考えれば、災害を考慮した家づくりをするということは最も大切なことだとも言えます。

さて、災害に強い家とはどんな家でしょう?先ず思い浮かぶのは耐震、耐風などの基本性能の高い家ではないかと思います。いわゆる「丈夫な家」、「頑丈な家」ということですが、我が国の建築基準法は世界最高水準と言われており、建築許可を経て建てている建物の強度について、過度な心配をする必要はありません。しかし、より強度の強い家にするために設計基準を高めることはできますし、国もそれを推奨しています。ただし、設計基準を高めれば比例してコストも上がりますから、どこまで求めるのかは冷戦な判断が必要です。

次に、起こるべき災害をあらかじめ想定して、災害に強い建築材料の採用、自家発電装備や再生エネルギ発電システムの搭載、災害時にも利用できる住宅設備機器を設けたりして、災害対応力を高めている家も災害に強い家だと思います。飲料水・食料の備蓄設備を備えるなどすれば、万一の災害時にも慌てることなく冷静な対応ができます。

あと、建築場所の選定も非常に重要です。ハザードマップを確認し、海抜の低い土地や山崩れの可能性のある地域は避け、地質に相応しい基礎工事を施工するなどして災害リスクを軽減することができます。災害に強い家というのは基本性能が高いというだけではなく、建築場所の選定もしっかり検討していることがポイントになります。

自然の力には我々は対抗できません。100%安全な場所や建物もありません。しかし、生命や財産を守るためにリスクを減らすということはできますから、各々ができる範囲で、それぞれの考えをもって、建物の安全強度や建築場所の選定、万一の時に備えた対応策を複合的に組み合わせることが大切だと思います。建築を依頼する業者さんとも良く相談して、納得の住まいづくりとなるよう心掛けて下さい。

 

2024.08.20

転職したばかりで住宅ローンが組める?

住宅ローンは長期に渡り支払いをしていくのが特徴です。住宅ローンを借りる上で一番大事なのは、将来にわたり一定の収入が見込め、継続して支払いを続けていけるのかどうかという点です。金融機関のローン審査においても最も重要視している点であり、申込者の属性、職業や収入、過去に各種ローンの支払い遅延が無いかどうかなどを審査します。

勤続年数はローン審査の中でも重要なポイントの一つです。会社勤めの方であれば勤続年数が増すことで収入が安定し将来設計も立てやすいからです。安定的な会社にお勤めで、勤続年数も長いという方は審査上も有利に働き、融資を受けることについて問題が無いと判断されるのです。

転職はそれ自体に問題はありませんが、ローンを借りる際に金融機関に提出する「所得証明書」あるいは「源泉徴収票」が現在の仕事の所得が反映されているものでなければ審査の対象になりませんので、転職して1年未満の場合には反映されず、住宅ローンの審査を受けることが難しいとなります。転職して少なくとも1年以上勤務し、現在の仕事による公的証明書が得られているという状況になって初めて審査を受けることができるのです。

ただし、例外もあります。転職をして間もない場合でも、職種に専門性が高いと認められる場合や仕事の内容に継続性があるような場合は審査の対象となります。その場合、直近数ヶ月の給与明細書を提出することで審査を進めてもらえます。但し、借りれるかどうかは審査する金融機関の判断になりますので、事前に金融機関の窓口に相談をすることをお勧めします。金融機関によっては、「転職して1年未満であっても審査の対象です」と告知しているところも見受けられますので、そのような金融機関に申し込むのが良いかも知れません。

繰り返しになりますが、住宅ローンは低利で長期でローンを組むことにより多額のお金を借りることができるローンであり長期に渡り支払いをするものです。住宅ローンを借りるには、職業を持ち、収入を継続して得られることが条件になりますから、それが整って初めて、住宅ローンが組めるということになります。

文:中川雄二

2024.07.20

資金贈与を受けての住宅の取得

「父母や祖父母など直系尊属からの贈与により、住宅取得や増改築等の費用に充てる為の金銭について、一定の要件を満たせば定められた額までは贈与税が非課税になる」という制度があります。正式名称は「住宅取得等資金の贈与を受けた非課税制度」と言いますが、省エネ等の質の高い住宅の場合は10,000,000円、それ以外の住宅の場合は5,000,000円までが非課税となっています。

ご存知のように贈与に対する税率は高いので、この制度は非常に有利でかつ使いやすい制度です。現在、住宅を取得する方の多くがこの制度を利用されていますが、利用をする為には要件をクリアし、定められた手続きをしなければなりません。主な要件については次のようになります。

①贈与を受けた時に贈与者の直系卑属(贈与者は直系尊属)であること

②贈与を受けた年の1月1日において18歳以上であること

③贈与を受けた年の所得金額が2,000万円以下であること

④自己の配偶者、親族などから取得した住宅用家屋ではないこと

⑤贈与を受けた年の翌年3月15日までにその家屋に居住をすること

その他にも建物の面積の制限などもありますので、先ずは要件に該当するか否か確認をするようにして下さい。

手続きについてですが、贈与税の申告書の提出期限(贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日まで)に、贈与税の申告書及び一定の添付書類を提出した場合に限り、その適用を受けることができるとなっていますので申告は忘れずにおこなうようにして下さい。申告をしなかったり、贈与を受けた年の翌年の3月15日までに居住するなどのスケジュールが守られなければ、一般贈与の対象となり、多額の贈与税を納めることにもなりかねませんので気を付けるようにして下さい。尚、要件や手続きに不安を感じるようであれば、贈与を受ける前に個別具体的に税務署にお尋ねすることをお勧めします。

ここ数年の建築費の高騰もあり、自己の資金だけで住宅取得をすることは厳しい状況となっています。住宅取得等資金贈与の非課税制度はメリットの高い制度と言えますので、直系尊属からの資金援助が叶う方は積極的に活用を検討すべきだと思います。

文:中川雄二

2024.06.20

マイナス金利解除の住宅ローンの影響

日銀はデフレ脱却を目指し、長きに渡って大規模な金融緩和政策を取ってきました。民間銀行の日銀当座預金に「-1%」の金利を課す「マイナス金利政策」もその政策の一つなのですが、昨年あたりから「賃金の上昇をともなう安定的な2%の物価上昇」が見えてきたことで、今年3月に「マイナス金利政策」は解除されました。これにより、金融政策は正常化に向けた新たな段階に入ってきたと言われています。

住宅ローンの金利は国債市場で取引される「10年物国債」の利回りを基準として決定しています。日銀は金利を低く抑え込むために「10年物国債」を大量に購入し、長期金利の上昇を抑え込んでいます。「マイナス金利政策」が解除された現在も継続しており、それにより住宅ローンの金利は低い状態のままとなっていますが、「マイナス金利政策」が解除されたことを切っ掛けに、「10年物国債」の金利もジワジワと上がり始め、近いうちに住宅ローンの金利も上がっていくと予測されています。

住宅ローンの特徴は低金利かつ長期間の返済です。それにより多額のお金を借入することができるのですが、支払い額が定額のままで金利が上昇すると当然のことながら借入額は減ってしまいますので、金利の安いうちに住宅ローンを借りる方が得だと考えます。特にフラット35のような長期固定型住宅ローンの場合は借入時の金利で固定されますので、金利上昇前のタイミングで借入すればたしかに得になります。ただし、金利が安いのは経済に様々な問題があるからであり、住まいを取得するタイミングとして必ずしも良い状況とは言えません。それは歴史を振り返れば分かります。

住まいづくりは、自らが住まいを必要とするタイミングで、自分の身の丈に合わせた住まいを取得するという考え方が理想と言われます。住宅ローンの金利は確かに気になりますが、それに一喜一憂することなく住まいづくりの計画を進めていくことが大切なのです。情報過多の現在、日々の情報に振り回されることなく、自分の考えで、必要とする適切なタイミングで、住まいづくりを進めていくということを心掛けて下さい。

文:中川雄二

2024.05.20

建築基準法改正によるリフォームの確認申請

2025年4月の建築基準法改正により、「4号特例」が縮小されることとなり、木造2階建てや一定規模以上の平屋の大規模なリフォームを実施する場合は建築確認が必須となります。「4号特例」とは、木造2階建てや一定規模の平屋建てなどの小規模住宅(4号建築物)の建築や増築、リフォームを実施する場合の確認申請に関する特例で、都市計画区域などの指定区域内の4号建築物の大規模改修・模様替えは建築確認申請が不要という特例です。(「4号特例」は通称名で正式には「審査省略制度」と言います)

この「4号特例」が縮小される背景は、2022年6月に「脱炭素社会実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律の一部改正」により、建築物の省エネ性能向上を図る対策が強化されたことによるものです。「4号特例」による確認申請不要の住宅リフォームが可能なままだと、今後も省エネ基準に適合しない大規模リフォームが実施される可能性があることから、2025年4月の法改正によって省エネ住宅の促進を徹底するようにしたのです。

「4号特例」が縮小されることで4号建築物(木造2階建てもしくは木造平屋建て)の枠組みが廃止され、新たに次のような分類に変わります。

① 新2号建築物…木造2階建てもしくは木造平屋建てで200㎡を超えるもの

② 新3号建築物…木造平屋建て200㎡以下

新2号建築物は、全ての地域で、大規模なリフォームを実施する場合は、建築確認・検査が必要となります。尚、新3号建築物は従来通り審査省略制度の対象となるので、大規模なリフォーム時にも確認申請は不要のままです。

建築基準法で定められている大規模なリフォームというのは、壁・柱・床・梁・屋根または階段のうち一種類以上を、その半分を修繕・模様替えする工事を指しますので、簡単に言うと構造を触る間取りの変更や増改築、屋根の葺き替えや外壁の張り替えなどの工事になりますから、これらのような工事に該当する場合は、今後、確認申請が必要となるのです。確認申請が必要となるということは申請費用や審査期間が必要となるということですので、今まで以上に余裕を持ったスケジュールを組み、打ち合わせも時間を掛けておこなうことが求められると思います。

文:中川雄二

2024.04.20

ペットと暮らす家の工夫

今やペットは家族の一員となり、室内で人と一緒に生活することも当たり前の時代となりました。ペットと一緒に暮らす住まいを希望される方も増えており、また、それを望む方の多くは戸建て住宅を望まれることから、ペットと暮らす住まいを積極的に提案している建築会社も多くなってきています。

さて、ペットと暮らす住まいを考える場合、ペットの種類やペットの大きさによっても異なりますが、大事なこととして、それぞれが快適に住めるようにする為に設備や仕様を工夫することが必要です。例えば、ペットが犬や猫などの場合、物を噛んだり爪を立てたりすることもありますから、直接触れることの多い場所、床材や壁材には強度の高いものを使ったり、粗相をした場合に掃除のしやすい素材を使っておくということです。

また、足裏に毛のある犬猫は一般的な住宅用のフローリングでは滑りやすく、場合によっては股関節に不具合を起こすケースもありますので、フローリングには滑り止めシートを張るとか、階段などには上がれないようにゲートを設けるとかする工夫も必要でしょう。ペットに起きるトラブルを想定し、それに対して工夫をしておくことがポイントです。

その他、設備などでは空気清浄機能のある空調設備の採用、手足を洗う専用の洗面設備、自宅でトリミングをする方はその設備など、ペットに適応した設備機器を設置すれば日々の生活も楽になります。尚、人が使う設備機器を兼用するのはあまり望ましくはありませんので、可能な限りペット専用の設備機器を設置することを検討して下さい。

あと、間取りについては、ペットに合わせた間取りにする必要までは無いと思います。住まいの主役はあくまで人(主人)であり、そこに家族の一員としてペットがいるという考えをベースにして、ペット専用の開口部の設置や、出入りのしやすい動線を考える程度の工夫で良いと思います。

ペットと一緒に暮らすことでより深い愛情も湧きます。ペットが人にはない接し方をしてくれるおかげでセラピー効果も絶大です。ペットから受ける恩恵は代えがたいものだと思いますので、人とペットが互いに尊重し、快適に暮らせる住まいとなるよう、いろいろ考えてあげて下さい。

2024.03.20

フラット35の「子育てプラス」

「フラット35」は住宅金融支援機構が提供する「全期間固定金利」の住宅ローンです。保証料などが不要で諸費用が安く、どなたでも、どんな職業の方でも利用ができる固定型金利なので、金利上昇リスクを気にせず安定した資金計画を立てられるというのが特徴の住宅ローンです。

その「フラット35」に2024年2月から新しいメニューとして新設されたのが「子育てプラス」です。従来あった「子育て世帯・若夫婦世帯」の住宅取得支援をバージョンアップするものになりますが、変更された点として、若夫婦世帯または子供1人の世帯に与えられていた1ポイントに加え、子供が1人増えるごとに1ポイントが付加されます。1ポイント▲0.25%の金利引き下げ(5年間)は変わりませんが、最大引下げ幅は最大▲0.5%だったものが最大▲1%まで引き上げられました。省エネ性能の高い住宅(ZEHなど3ポイント)や管理・修繕を計画された住宅(長期優良住宅など1ポイント)に与えられていたポイントは従来と変わりませんので「子育てプラス」に追加して金利引き下げが適用されます。

「子育てプラス」は、子供の人数に応じて金利引き下げ幅を拡大することで月々の返済負担を軽減することを目的としています。例で申し上げると、「子育て世帯で子供2人、ZEH住宅で長期優良住宅認定取得」の場合、子育てプラスで2ポイント、ZEHで3ポイント、長期優良住宅で1ポイント、計6ポイントが与えられます。金利引き下げは当初5年間が▲1%(4ポイント)、次の5年間は▲0.5%の金利引き下げになります。現在、住宅ローン控除が年末借入残額の0.7%、13年間受けられますので、現在の金利水準に当てはめると実質金利は非常に安くなります。

全期間型固定金利の住宅ローン「フラット35」の新メニュー「子育てプラス」は、より有利な条件で、見通しのきく、安定した資金計画を立てることができます。若夫婦世帯、子育て世帯の住宅取得時においては大きなメリットになると思いますので、これから住宅取得お考えの方は前向きにご検討なさってみて下さい。

2024.02.20

住宅ローンの相談はFPか金融機関か

先ず最初にフィナンシャルプランナー(FP)と金融機関の違いについてお話しをします。フィナンシャルプランナーは資産運用やライフプランニングに関する相談を聞き、その悩みに対して適切なアドバイスをするということしています。すなわち、お金の悩みに対してコンサルティングをするという仕事であり、主に金融に絡む商品(保険商品)の販売をすることで収益を得ています。

次に金融機関(銀行)ですが、預金者からお金を預かり、個人や法人に貸し付けることで利ざやを稼いでいる仕事です。住宅ローンに関しては、直接融資をする立場ですので、安全かつ適切な貸付となるように審査をして、適切な方に対して融資をしています。金融機関にとっての住宅ローンは、個人に対する貸し付けでは最大のものであり銀行の主たる業務の一つとなっています。

さて、住宅ローンの相談をする場合に相談先としてどちらが良いかという質問ですが、「住宅ローンを借りることが出来るのか」、「いくらまで借入することが可能なのか」などの相談であれば、融資を直接する立場である金融機関が適切です。事前審査などの手続きをすることで借り入れ可能か否かの確認をしてくれますし、実際に融資をする立場で現実的かつ適切な支払いを前提としたアドバイスをしてくれます。

フィナンシャルプランナーへの相談は、実際に住宅ローンを借りるようになった場合には長期かつ多額の債務を負いますから、その債務というリスクに対してどのような対処を考えておくか、将来のキャッシュフローがどうなるかなどを確認するような相談に適しています。オリジナルのライフプランを立ててもらい、想定されるリスクに対する対処方法や将来設計の組み方などのアドバイスを受けると良いと思います。

金融機関もフィナンシャルプランナーも施主にとっては必要な相談相手だと思います。それぞれ役割が違い、できることも異なりますから、その役割にあった相談を投げ掛けることを心掛けて下さい。

株式会社スタイルプランニング

株式会社スタイルプランニング

〒700-0823 
岡山市北区丸の内2丁目11番20号 SERENA MARUNOUCHI 1F 
※岡山県立図書館より40mほど西側
info@style-planning.jp