ここ最近すっかり秋らしくなりました。心地よい気持ちのいい気候が続いています。やっぱり秋は過ごしやすくていいですね。
さて、ここ最近の住宅事情について少しお話します。今年初めの日銀のマイナス金利政策で住宅ローン金利は史上空前の低金利、住宅取得の減税措置も昨年からタップリ手当され、住まい給付金などなどの補助制度も充実と、住宅を取得する環境は整い過ぎているくらい良い状況です。
また、不動産流通においては、昨年見直されたの相続税の改正、今年初めに施行された空家法案、中古住宅促進を促すインスペクション制度や瑕疵保険制度の充実など、不動産流通を促進するような政策が次々と打たれています。
こういう状況が整うと不動産売買や住宅新築が増えていくのですが、今回は市場では少しおかしな現象が起きています。住宅建築も不動産流通も全体では前年より落ち込むような事にはなっていませんが、特定な形での取引やとても偏った建築工事の形態が増えており、将来大丈夫なの?と思うようなことになってきているのです。
岡山市や倉敷市では特に土地を買って家を建てるという潜在需要が高いエリアですから、本来なら個人住宅用地が市場に多く出てくるのですが、今回はそのような形になっていません。土地を買って家を建てるというケースは少なくなっています。個人住宅用地の流通が非常に悪くなっているからなのです。なぜそんな事になってしまったのでしょうか。今回のような金融政策や建築の需要を喚起する手立てがされれば当然不動産流通は活発になります。当然、住宅用土地も市場に出てくるのですが、今回は、先にマンション用地、分譲建売用地、賃貸住宅用地として取り込まれてしまったからなのです。
金利が安く設定されインフラを起こすような政策がなされると不動産投資にお金が流れます。特に不動産収益物件に人気が集まりますが、中でも比較的投資資金が少なくて済むアパートへの投資が激増してきます。高度成長の折ならば住宅の需要も旺盛なのでそれでもいいですが、人口が減り始め、空家率が20%近くになっているのにも関わらず今回も起きているのです。建築業者や不動産会社などはその投資需要を見越して土地を高値でまとめて買いしています。
また、ローコストの建売分譲をしている建築会社の買い占めも目立ちます。首都圏から進出してきたローコスト住宅を手掛ける建築会社が、土地を30坪程度に小さく切り、30坪程度3LDK の建物をまとめて4~5棟建て、築10~20年の中古住宅と変わらないような金額で売買するというビジネスモデルです。土地の仕入れが命ですので、高値でまとめ買いをしています。
そして、既存の住宅メーカーやマンションデベロッパーも建築の確保と販売供給の維持を確保するために負けじと土地を買いあさります。弊社には、住宅会社を自由に選びたいというお客様から、建築条件の無い住宅用地を探して欲しいという依頼が多くありますが、上記のようなことからか個人住宅用地の情報が枯渇し、手に入れることがとても困難になっています。個人向けの住宅用地の市場への情報量は非常に少なくなってしまっているのです。
このような歪な状況が続くことは良いことではないと感じます。時代は繰り返すと言いますが、不動産、住宅業界の現在の状況は25年前のバブル崩壊や10年前のリーマンショックの時を思い起させるような危うさを漂わせています。これからの住宅取得おいては、少し冷静になって一歩引いた目線で見ていかなければならないかも知れませんね。