Q:将来子供が巣立ったり、親との同居の可能性を考えると、間取りや大きさに悩みます。現状優先で考えた方が良いのか、先々の可能性を考えて決めるのがいいのか教えて下さい。
住まいづくりの肝となるプランニングは、どの時点にフォーカスするかによって全く異なるものになるからです。世代が変わっても同じ家に住み続けていた時には無かった悩みですが、個人が尊重され、生き方も様々で、多様な人生が当たり前になった現代では、その答えを見つけだすのはとても難しいようにいえます。それを前提に、私なりの考えをお話させていただきますが、私の生業である住まいづくりコンサルティングの経験からいえば、住まいづくりにおいては、先ず、自分達(施主)のことを考え、直面している問題の解決や、やりたかったことに重きを置いてプランニングすることが大事です。子供のこと、親のこと、将来発生するかもしれない問題全てに対応するプランニングをするには、広さもコストも掛かりすぎてしまいますし、想像しておられる将来になるという保証もありません。将来のことは誰にも分からないのですから、それを悩み考えたところで答えはないのです。よって、プランニングの基本は自分達(施主)がやりたいこと、既に起きている問題を解決することに主眼を置いて進めるべきです。
とはいえ、できるだけ対応可能なものにしておきたいとの意向であれば、臨機応変に間取りの変更がしやすい構造躯体(スケルトン)と間取り(インフィル)を分離した構造(スケルトンインフィル)にしておくことをお勧めします。基本設計にスケルトンインフィルを取り入れておけば間仕切りは自由に変えられますから、問題が発生した時には速やかに対応することができます。もちろん、間取りを変更するには都度費用は掛かりますが、大掛かりな工事にはなりにくいので費用を極力抑えることができます。
まとめますと、プランニングの基本的な考え方として、自分達(施主)を中心に置く、身の丈に合った自分好みで使いやすさを重視する、ある程度起こりうる問題に対応することに準備するなら、基本設計にスケルトンインフィルを取り入れていく。このように考えてプランニングすることが良いのではないかと思います。