住宅ローンの金利は政府・日銀による大規模な金融緩和政策により低く抑えられています。皆さんもよくご存じの政府系住宅ローン「フラット35」の金利を見てみると良く分かりますが、2004年ごろには3%台であった金利は2015年くらいには1%台にまで下がり、そこから7年余り、現在もこの超低金利は続いています。これは、安倍首相による「アベノミクス」政策に起因しています。
ただし、世の中の状況は大きく変わってきました。2年半前に突如発生した「コロナウィルス感染症」、今年初めに起きた「ウクライナ・ロシア戦争」が、グローバルスタンダードを破壊したことで、原材料価格が上がりはじめ、市場に物が不足するようになり、インフレーションが世界各地で起こり始めています。コストプッシュ型のインフレは悪いインフレと言われますが、各国は急激な物価高を抑えるべく政策金利を一斉に上げ始めています。これにより住宅ローンなどの金利も上昇しています。
我が国は先進国の中で唯一、金融緩和政策を今も継続していますが、金利上昇の圧力は強まっており住宅ローンの金利も少しずつ上がり始めています。先ほどご紹介した「フラット35」の場合、2月から7ヶ月連続で金利は上昇しており上がり基調なのは明白です。政府・日銀は、デフレ脱却・2%程度の緩やかなインフレを目指し現在の金融緩和政策を続けていくと発表していますが、世界の中で日本だけが金融緩和政策を続けることで通貨下落(円安)などの問題も引き起こしていますから、いつまでこれが続けれるのか疑問視されています。
金融緩和政策の旗振り役である日銀黒田総裁の任期が来年春までとなっていることから、ここが政策転換の分岐点になるのではないかと予想する旨もありますが、どうなるかは誰にも分かりません。しかし、我が国もインフレが今以上に大きくなってくれば政策金利を上げざるを得なくなり、結果、住宅ローンの金利は上昇するということは予測できます。また、その可能性は高いと推測されます。
現在はまだ金融緩和政策は継続されており、超低金利での住宅ローンも活用できる状況です。低金利の住宅ローンが利用できることは住まいづくりにおいて大きなメリットですから、ここ2~3年にマイホーム取得したいとお考えであるのなら計画を前倒しする価値は十分にあります。民間の金融機関の場合、事前審査を受けた時点の金利を適用してくれるとこもありますから、タイミングを見て事前審査を受け、住まいづくりの計画を具体的に立ててみるというのも一つの方法だと思います。