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住まいづくりワンポイントアドバイス

2022.11.01

アフターコロナの住まいづくり

コロナウィルス感染症は、私たちが過ごしていた当たり前の日常を一変させました。人との関わり合いをなくしただけでなく、物の価値や考え方までも変えてしまったように感じます。ただ、これがずっと続いていくことは考えられず、アフターコロナという言葉に代表される「新しい生活スタイル」を模索しているのが今の状況です。

住まいづくりに関しても同様で、今まで当たり前であったやり方や考え方が否定されたことで、住まいに対する価値観、住まいの活用方法なども深く考えるようになりました。それに呼応するように売り手側からも新しい住まいづくりの提案がされるようになり、特に住まいづくりの進め方が大きく変わりました。今や、買い手側の都合や多様性に対応できる商談の形に移行しています。ウェブを使った打合せなどはその典型で、住まいを提供する業者側も商談方法を工夫し買い手が利用しやすいサービスやモノを提供するようになってきています。

新しい住まいづくりが浸透する一方、多様性の対応は物やサービスの価格を押し上げることに繋がります。加えて、コロナウィルス感染症の影響でサプライチェーンが崩壊し原材料費が高騰したことも影響して新築の注文住宅の価格は相当に高くなっています。今後、注文住宅の新築を検討できる方はある程度条件の揃った方に限定されてくると思います。一方、新築のコストを抑える建売分譲は今後も増加すると予想されますが、自由性・選択肢が無いため、中古住宅のリノベーションにニーズが高まるのではないかと言われています。「多様性と新しい生活スタイル」これがこれからの住まいづくりのポイントになってくると思います。

住まいづくりにおいて最も大切なのは、「住まいづくりを始めた動機」と「身の丈にあった住まい」です。住まいづくりを始めた動機に沿った形で話を進めていくこと、自分自身の身の丈にあった住まいを選択していくこと、これがポイントです。それを実現するには、しっかり情報収集をして、客観的な意見を聞いて、自らの考えを尊重してくれる建築会社を選択することです。

2022.10.16

住宅ローンの今後の見通し

住宅ローンの金利は政府・日銀による大規模な金融緩和政策により低く抑えられています。皆さんもよくご存じの政府系住宅ローン「フラット35」の金利を見てみると良く分かりますが、2004年ごろには3%台であった金利は2015年くらいには1%台にまで下がり、そこから7年余り、現在もこの超低金利は続いています。これは、安倍首相による「アベノミクス」政策に起因しています。

ただし、世の中の状況は大きく変わってきました。2年半前に突如発生した「コロナウィルス感染症」、今年初めに起きた「ウクライナ・ロシア戦争」が、グローバルスタンダードを破壊したことで、原材料価格が上がりはじめ、市場に物が不足するようになり、インフレーションが世界各地で起こり始めています。コストプッシュ型のインフレは悪いインフレと言われますが、各国は急激な物価高を抑えるべく政策金利を一斉に上げ始めています。これにより住宅ローンなどの金利も上昇しています。

我が国は先進国の中で唯一、金融緩和政策を今も継続していますが、金利上昇の圧力は強まっており住宅ローンの金利も少しずつ上がり始めています。先ほどご紹介した「フラット35」の場合、2月から7ヶ月連続で金利は上昇しており上がり基調なのは明白です。政府・日銀は、デフレ脱却・2%程度の緩やかなインフレを目指し現在の金融緩和政策を続けていくと発表していますが、世界の中で日本だけが金融緩和政策を続けることで通貨下落(円安)などの問題も引き起こしていますから、いつまでこれが続けれるのか疑問視されています。

金融緩和政策の旗振り役である日銀黒田総裁の任期が来年春までとなっていることから、ここが政策転換の分岐点になるのではないかと予想する旨もありますが、どうなるかは誰にも分かりません。しかし、我が国もインフレが今以上に大きくなってくれば政策金利を上げざるを得なくなり、結果、住宅ローンの金利は上昇するということは予測できます。また、その可能性は高いと推測されます。

現在はまだ金融緩和政策は継続されており、超低金利での住宅ローンも活用できる状況です。低金利の住宅ローンが利用できることは住まいづくりにおいて大きなメリットですから、ここ2~3年にマイホーム取得したいとお考えであるのなら計画を前倒しする価値は十分にあります。民間の金融機関の場合、事前審査を受けた時点の金利を適用してくれるとこもありますから、タイミングを見て事前審査を受け、住まいづくりの計画を具体的に立ててみるというのも一つの方法だと思います。

2022.09.30

2030年、2050年問題

住宅業界において、2030年、2050年は大きな節目の年とされています。理由は、日本政府は2020年10月に「2050年までに二酸化炭素ネット排出量ゼロ(カーボンニュートラル)」との政策目標を世界に表明しました。それを踏まえ、国土交通省・経済産業省が「脱炭素社会に向けたあり方、進め方」を進めるための「住宅・建築物」の具体的な対策を取りまとめました。そこには大きく3つの目標が掲げられており、①2025年度に住宅を含めた建築物の省エネ基準への適合義務化、②2030年までに新築される住宅・建築物についてZEH(ゼロエネルギーハウス)基準の省エネ性確保と新築戸建ての6割に太陽光発電設備を導入、③2050年までにストック平均でZEH基準水準の省エネ性が確保される住宅・建築物においては太陽光発電設備等の再生エネルギーの導入を一般的にすると発表されています。

簡単申し上げると、2025年度に全ての新築住宅が省エネ基準となり、2030年までに全ての新築住宅がZEH基準で作られ、2050年までには全ての新築住宅でZEH 基準+太陽光発電搭載でカーボンニュートラルを実現するということです。地球規模の環境問題を解決するために掲げられた対策ですが、現在、コロナウィルス感染症とウクライナ戦争の影響でグローバルスタンダードと物流システムが崩壊し、物の値段が高騰するインフレが起きていますので、スケジュール通りに実現できるか微妙に状況になっていますが、何らかの対策を講じなければ地球温暖化の問題が解決できないことも事実ですので、目標に掲げられた2050年までには、あらゆる手段を講じてでもカーボンニュートラルは実現すると思います。

この政策で考えられるデメリットは建築費の大幅なアップです。3年後の2025年度の省エネ基準義務化はすでに動き出していますが、コロナ禍とウクライナ戦争の影響もあって建材のコストアップが顕著に出ており、すでにエンドユーザーが負担できないレベルにまで達しています。国の補助金などを活用しなければかなり厳しい状況であることは否めません。2030年、2050年の目標は、国が適宜・適切に補助金などを設定し後押ししなければ実現できないと考えられますので、国の住宅政策についてはアンテナを張り巡らせておくことが必要でしょう。

2022.09.15

コロナ禍の住宅展示場

2020年初めにコロナウィルス感染症が中国で発症し、あっという間に世界中に広まりパンデミックとなりました。2022年8月現在もコロナ禍であり、日本でも毎日20万人を超える感染者が新たに出ている状況です。ただ、ワクチン接種や新たな治療薬なども開発され重症化率が低くなったこともあり、政府は感染抑制と社会経済活動の両立について取り組みを進めています。

総合住宅展示場の最大のメリットは、多くの住宅会社の建物を見学し比べることができ、住宅取得にかかわる生の情報が直接得られるという点です。したがって、住宅取得を検討し始めたエンドユーザーには行ってみたい場所であり、住宅にかかわるイベントやセミナー・相談会なども頻繁に開催されていることから、住宅取得をする5割以上の方が利用しているといわれています。しかし、コロナウィルス感染症が広がり始めた2020年春以降、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の発令、不特定多数の方を集客する住宅展示場としての問題、イベント等も中止され人数を限定しての見学やリモート見学等も取り入れられましたが、本来持っている住宅展示場のメリットの多くが失われたこともあり利用者は減少しました。しかし、コロナ禍3年目を迎え、多くの方がワクチン接種をし、社会も社会経済活動の両立に舵をきったこともあり、最近では住宅展示場の来場者も増加傾向となっています。

住宅取得においては、「見て・触って・感じて」は重要なポイントといわれています。リアルにそれを体験できる住宅展示場はやはりエンドユーザーにとって必要な場所です。運営者側も新しい住宅展示場の運営方法を考えており、感染症対策を十分に講じることはもちろんのこと、リアルとバーチャルの融合、予約システムを導入した密にならない見学方法や個別の相談会を増やしエンドユーザーの住宅取得の問題点を解決したりと、コロナ前とは違う新しい住宅展示場の活用方法を提案しています。住宅展示場は個人では得ることのできない情報がありますし、住宅を体感することで新たな発見もあります。そして何よりリアルに感じることは購買意欲を沸かせてくれます。住宅展示場は住宅取得を考えるエンドユーザーにとって必要不可欠なツールだと思いますので、感染症対策を十分に講じた魅力ある住宅展示場には、ぜひ足を運んでみて下さい。

 

2022.08.31

住まいづくりの要望の伝え方

注文住宅を検討される折に重要なことは、営業担当者、設計担当者に施主の要望や考えを分かりやすく的確に伝えることです。実際、要望を上手く伝えることが出来ずに設計や家づくりがうまく進まないという方の相談を私も多く受けています。要望が上手く伝えれなければ希望するものになりませんし、打ち合わせを重ねてもストレスが増大するだけです。スムーズな家づくりをするためにも、施主の要望や考えを的確に建築会社にお伝えしなければならないのです。

では、どのようにすれば施主の考えや要望を的確に伝えれるかですが、私がお勧めしているのは「新築計画要望書」を作成し、それを元に建築会社にヒアリングをしてもらい、互いに確認をしていくというやり方です。「要望書」を作成することで自分や家族の考えをまとめることができますし、検討している建築会社が複数あった場合でも上手く活用することができます。

要望書を作成するポイントですが、構成は、①施主・家族、建築場所の情報、②設計要望、③持参家具などの寸法表、④希望予算という形で作成して下さい。中でも②の設計要望については、「お部屋は◯部屋、◯帖がいくつ」という表現ではなく、「この部屋では〇〇したい、この部屋の利用方法はこんな感じで考えている」という抽象的な表現で良いです。「寒がりなので暖かい家にしたい」、「ランニングコストの低い家にしたい」、「キッチンから全て見回せる間取りにしたい」という表現も良いでしょう。使い勝手や利用方法など、ライフスタイルをイメージできるように作成することがポイントです。

また、写真の多い住宅雑誌や設備機器のカタログなどを何冊か用意して、自分や家族の好みのスタイルやデザインの箇所に付箋をつけ、考えている住まいのデザインイメージを伝えるようにして下さい。ビジュアル化するのはより分かりやすく伝えるためのやり方ですが、自分自身も住まいのデザインイメージをまとめることができるのでお勧めです。そして④の希望予算については、施主の希望予算を分からなりにもハッキリと示して下さい。多分、建築会社から出てくる建築費と乖離が出ますが、それをどのように説明されるかによって建築会社の考えていることや姿勢も分かります。

注文住宅の良し悪しは、どれだけ打合せを重ねたかによります。言葉だけで伝えるのではなく「要望書」という書面にして伝えることで、施主や家族の頭の中を建築会社さんに見せることができますからぜひチャレンジしてみて下さい。

2022.08.15

住宅取得後の維持費

不動産を購入後、必要となる維持費として税と修繕費が挙げられます。まず、税の方からお話ししますと、不動産を取得すると「不動産取得税」というもの掛かりますが、これは不動産の評価額に対して原則3%課税されるもので取得時のみ掛かる税なのですが、不動購入後3〜4ヶ月後に納付書が届き、納付書を見てビックリという方も多いようです。ただし、一般的な広さの居住用不動産は軽減措置があり、課税が免除されたり軽減されたりしますので大きな負担までにはなりませんが、軽減措置の手続きをしなければ免除や軽減はされませんので、忘れずに期限日までに手続きをするようにして下さい。

その他の税で「固定資産税・都市計画税」というものがありますが、これは、国や市町村が定めた不動産評価額に、固定資産税として年1.4%、都市計画税は年0.3%かかるもので、毎年4月末頃に納付書が届きます。尚、不動産の評価額は3年ごとに見直しされ、それに対して定められた料率が課税されます。毎年支払わなければならない税ですから、住宅ローンのように毎月定額を積み立てておくようにすると納付時に楽だと思います。

次に修繕費ですが、建物は時間の経過とともに経年劣化していきますので、定期的なメンテナンスをする必要があります。また、設備機器も20年くらいを目処に交換をしなければならない時期が必ずきます。修繕費の中でも特に、外装材、屋根材、防水箇所などは、定期的な維持管理をする必要がありますが、外部の修繕には足場を組んだりする関係上、多額の費用が掛かかるので、トラブルが起こるたびに修繕をするというのは非効率で費用も増大しますから、トラブルを未然に防ぐメンテナンスを計画する必要があります。

例えばマンションなど共有物件では、管理組合を設立し修繕計画を立て、毎月決まった金額を積み立ててメンテナンス費用を捻出していますが、個人の戸建住宅でも同様の考え方で、毎年一定額を修繕積立として準備すれば、定期的なメンテナンスができるので大きなトラブルは無くなります。修繕工事費は新築をした建築業者に聞けばある程度教えてくれますし、最近では、引き渡し時に修繕計画書を作成してくれる建築業者もいます。将来発生する費用が分かれば修繕費を積立てることができますので、事前計画を立てることをお勧めします。

2022.07.31

LCCM住宅とZEH住宅の違い

Q:LCCM住宅とZEH住宅の違いについて    

まず用語から説明しますと、「LCCM住宅」は、「ライフ・サイクル・カーボン・マイナス」住宅の略称で、「長寿命で且つ一層のCO2削減を目標とし、住宅の建設時、運用(居住)時、廃棄時において省CO2に取り組み、さらに太陽光発電などを利用した再生可能エネルギーの創出により、住宅建設時のCO2の収支をマイナスにする」という住宅のことです。二つ目の「ZEH住宅」は、「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略称で、「外皮断熱性能を大幅に向上させるとともに、高効率な設備システムの導入により室内環境の質を維持しつつ、大幅な省エネルギーを実現した上で再生可能エネルギーを導入し、年間の一次エネルギー消費量の収支をプラスマイナスゼロとすることを目指した住宅」です。

この二つの認定住宅は、太陽光発電システムを設置することや、エネルギー消費量を削減する高省エネ仕様・設備にするというころは同じなのですが、「LCCM住宅」は、建設、居住、廃棄の流れにおけるエネルギー消費も太陽光発電などによって作り出したエネルギーによってまかなうことを目指していますので、居住中のエネルギーをマイナスにするような仕様の住宅になるということです。国の方針としても、「ZEH住宅」は2030年の目標基準、「LCCM住宅」は2050年の目標基準としており、30年後の未来基準の省エネ住宅が「LCCM住宅」なのです。

「LCCM住宅」は「ZEH住宅」の高水準モデルとして国が推し進めている先進型住宅ですから、省エネ性能は極めて高く、光熱費は非常に安く、地球環境に優しい住宅となりますが、建築費用は一般省エネ住宅に比べれば数百万円単位で高額となりますので費用対効果をしっかり検討する必要があります。もちろん国も「ZEH住宅」を超える補助金を措置してくれていますが、現時点では施工費を賄うだけの補助額(補助対象工事の掛かり増し費用の1/2、上限140万円)ではありませんので、どこまで施主として対応できるかが現実的な課題だと思います。

2022.07.15

こどもみらい住宅支援制度追加予算

Q:こどもみらい住宅支援制度の追加予算が発表されました。スケジュールについて教えて下さい。

「こどもみらい住宅支援事業」は令和3年度補正予算で創設された住宅取得支援事業で、制度の目的は「子育て支援及び2050年カーボンニュートラルの実現の観点から、子育て世代、若者夫婦世帯住宅取得に伴う負担軽減を図るとともに、省エネ性能を有する住宅ストックの形成を図る」とされており、補助対象となる住宅は「高い省エネ性能を有する住宅の新築、一定のリフォーム」となっています。

補助対象となる新築住宅は50㎡以上の住宅で、性能により3種類に分けられていますが、①ゼロエネルギー住宅(ZEH)に準ずる住宅は1戸100万円、②高い省エネ性能等を有する住宅(認定長期優良住宅、認定低炭素住宅、性能向上認定住宅等)については1戸80万円、③一定の省エネ基準に適合する住宅(断熱等級4かつ一次エネ等級4を満たす住宅)は1戸60万円の補助金が受けられます。対象となる方は、①子育て世帯(18歳未満の子を有する世帯)、②若夫婦世帯(夫婦のいずれかが39歳以下の世帯)です。

制度設計では、2021年11月26日以降に工事請負契約を締結し、「事業者登録」をした事業者が着工したものに限るとなっており、「事業者登録」をした事業者が工事着手後に交付申請をおこない、交付申請期限は2022年10月31日まで、工事完了報告期限は2024年12月31日と定められていましたが、今回、政府の「原油価格・物価高騰当緊急支援対策」を受けて、令和3年度補正予算542億円に加え、令和4年度の予備費等から600億円が措置され、これにともない交付申請期限の延長と補助対象の変更が図られました。

交付申請期限は2023年3月31日まで延長され(完了報告の提出期間も5か月延長)、新築住宅の補助対象である、「一定の省エネ基準に適合する住宅(補助額:60万円)」については「2022年6月30日までに工事請負契約または不動産売買契約を締結したもの」に変更されました。

「こどもみらい住宅支援事業」はメリットの高い住宅取得支援制度ですが、予算枠・申請期限に難があるといわれていました。今回の追加措置により、より多くの方が利用できる支援策になったのではないかと思いますので、補助の対象となる方は建築会社さんとよく相談をして活用できるよう努めてみて下さい。

2022.06.30

住宅展示場で土地探しのメリット

Q:住宅展示場で土地探しをするメリットを教えて下さい

土地を購入して注文住宅を建築する場合、土地を探してくれるのは不動産業者、建築をお願いするのは建築業者です。30年くらい前までは、土地は現金で購入し、住まいは住宅ローンを使って建てるという考え方が一般的でしたので、施主はそれぞれの業者に個別に依頼して住まいづくりを計画しました。バブル崩壊後、経済の低迷を打開すべく金融緩和政策が打ち出され、住宅ローン等の利用緩和措置で土地も含め住宅ローンが利用できるようになってから、考え方、計画の進め方が大きく変わりました。

ファイナンスの取り巻く環境が変化することによって建築会社の営業スタイルも変わりました。地元の不動産業者と販売の業務提携をし、宅地分譲事業にも乗り出したりと、土地からの住まいづくりに積極的にトータルに携わるようになったのです。エンドユーザーにとっても安い金利の住宅ローンで土地購入もできるのは大きなメリットですし、建築会社が主体となって全てのことに携わってくれるのは安心で便利です。加えて、建築会社は建築に問題が無いか確認して土地を斡旋してくれますから不動産購入時のトラブルも防げます。

今では、建築会社の土地斡旋を望む方も多くなり、不動産会社から建築会社に対して情報提供も多くなっています。多くの来場者が見込める住宅展示場に出店している建築会社にはより多くの土地情報が集まりますので、希望する土地に出会う機会もおのずと増えるという訳です。ただし、本来の目的である住宅の話よりも資金、土地の話が主体となり、住宅に関して十分な打合せが出来ないまま計画が進んでしまう懸念がありますし、優良な土地を取り込むことで建築会社を選択してもらうという考えも出てきます。エンドユーザーの利益を損なうことになってしまうケースもありますので注意も必要です。

まとめますと、住宅展示場出店の建築会社には土地情報が多くあり、土地から住まいを検討する方にとっては積極的に活用するメリットはあります。ただし、土地有りきで話が進まないように、先ずは建築会社を十分に検討し、建てたいと思ういくつかの建築会社に絞り込んで土地の斡旋を受けるという進め方を心掛けて下さい。

 

 

2022.06.15

「オール電化」と「ガス併用」

Q:「オール電化」と「ガス併用」どちらにしようかまよってます

「安全・クリーン・経済的」がうたい文句の「オール電化」は、2011年の東日本大震災までは広く急速に普及し、「ガス併用」から「オール電化」へのシフトが加速度的に進んでいました。しかし、震災時の大規模停電に対しての脆弱性、ベース電源が原子力発電(当時)に大きく依存していたことなどから、「安全・クリーン・経済的」のイメージが崩れ、震災を機会に「オール電化」の広がりは縮小しました。加えて、震災後に高まった再生エネルギーの利用が拡大するにつれ、賦課金等により電気代が高くなったことで魅力も薄れてしまいました。

「オール電化」のメリットは「安全・クリーン・経済的」です。IHヒーターコンロは失火の恐れが無く、子供やお年寄りでも安心して使えます。また、給湯機器も耐用年数が長く、一度設置すればほとんど壊れることもありません。太陽光発電システムを搭載したお住まいであれば、作るエネルギーと消費するエネルギーが同じで経済的メリットも高くなります。一方、デメリットとして、エネルギー源が一つであるが故に停電時時には全てに機器が同時に使えなくなってしまうことや、ガス設備器具に比べると設備機器の初期費用が高額である点が挙げられます。

近年、「ガス併用」が見直されてきた理由として、①エネルギー源が複数で災害時の対応力が高い、②ガス設備機器の方が安価、③人気の床暖房にはガス機器が向いている、④料理好きの方は強力な火力のあるガスコンロやガスオーブンを使いたい等、対応力、コスト、多様性がクローズアップされたからでしょう。また、懸念であった安全性の面においても安全装置の改善により電気機器と同レベルの安全性となっており、再生エネルギーの活用もエネファーム等の機器が安くなり普及してきたことが大きいように思います。

どちらが良いかの結論は控えますが、施主のライフスタイル、利用したい設備機器を考慮し、家族にとって何を優先するか、どちらが我が家に合っているかなどを客観的に検討してみて見ると、より良い選択ができるのではないかと思います。

2022.05.30

住宅ローンの複数申し込み

Q:住宅ローンの複数申し込みはアリですか?

結論から申し上げると、住宅ローンを借りる金融機関は自由に選択することができるので、複数申込をすることはアリです。実際、複数の金融機関に申込みをして検討されている方も多いと思います。

詳しいお話の前に住宅ローンを受けるまでの流れを少しお話ししますと、金融機関から住宅ローンの融資を受けるには最初に「事前審査」を受ける必要があります。これは申込者の信用調査(与信)が主な目的で、「事前審査」に問題が無ければ金融機関から「融資承認」を受けることができます。言わば、住宅ローンを借りる予約ができたという状態がこの「融資承認」です。「融資承認」の有効期間は概ね1年なので、その期間内に「本審査」を受け、問題が無ければ「金銭消費貸借契約」を締結して融資を受けるようになります。ちなみに「本審査」は「事前申込」の内容に変わりがないかの確認と、住宅取得にかかわる詳細(建設地情報や建築物の見積の内容等)の確認が目的となっています。

ご質問に戻ります。住宅ローンを複数申込するということは「事前審査」を複数の金融機関に申し込むということになりますから、希望する金融機関が複数あれば、それぞれに「事前審査」の申込をしなければなりません。金融機関側としても「事前審査」に通った方にしか融資をすることができませんから、融資を希望される方は「事前審査」を受けてもらうことを勧められます。ただし、「事前審査」には銀行が必要とする書類の提出と個人情報の提供、窓口で直接手続きをおこなう必要がありますので、複数の金融機関に申し込む場合には、それだけ手間と時間を費やすことになります。現実的には候補を2~3行に絞り込んで「事前審査」を受けるのが望ましいと思います。

注意する点として、金利が安いことを最大のメリットとしているネット系の金融機関については、「事前審査」の手続きもネットで簡単にできるようになっているものが多いのですが、「本審査」の段階になってから、融資の否認や減額、条件の変更がされるというトラブルが時々見受けられます。理由は様々ですが、対面では無いからか条件の確認不足、解釈の違いから起こっているようです。実際、「本審査」の段階から後戻りするのはかなり大変な作業になりますので、検討する折には十分気を付けるようにして下さい。

住宅ローンは、多額の金銭を借り長期間かけて支払い続けていくというものです。借入の契約に至る手続きも複雑で、素人には中々理解しにくいことも多いと思います。申込みの段階からどのようなリスクや責任があるのかを確認し、手続きや条件を理解したうえで進めていく必要がありますし、金融機関とも長く付き合っていかなければなりませんから、窓口の対応や手続きの丁寧さなども判断の要素にして総合的に選択をしていくことが必要だと思います。

 

2022.05.15

「全館空調」と「全館換気」の特徴

Q:「全館空調」と「全館換気」の特徴を教えて下さい

「全館空調」、「全館換気」ともに住まい全体の空気環境を管理する空調設備機器です。最近の住宅は高い省エネ性能を求められることもあり、その普及とともに設置されるようになった空調機器ですが、大きく異なる点としては、「全館空調」には換気機能に加えて温度調整機能があるという点です。

「全館空調」の温度調整機能はいわゆるエアコンなのですが、室内ごとに設置するような個別型ではなく、本体は1台でダクトを通じて各室の空調・換気をおこないます。24時間家の中を一定の温度に保ち空気環境を整える機器なので、夏場だけ2階が暑いとか、冬場に廊下やトイレ・洗面所が寒いということがありません。各室、各所に設置された吹き出し口から24時間、温度調整をした空気を緩く出すことで個別エアコン特有の不快な風もありませんし、高性能換気システムの空気清浄能力も高く、室内の空気を常に綺麗な状態に保ちます。最近では加湿機能付きタイプも出ており室内の乾燥を防ぐこともできます。家の中はどこであっても同じ空気環境、同じ温度で、快適な住環境を作ってくれる優れものなのですが、本体設備は高価で壁や天井にダクト工事をする必要があり、高気密高断熱の住宅であることが必須となりますから、初期費用は相応に掛かるという点が難点といえます。

一方、「全館換気」は、「24時間換気システム」とも呼ばれていますが、国が省エネを推進する目的で気密性能の高い住宅を求めた背景から、2003年以降の新築住宅には法律で設置することが義務付けられています。高気密の住宅は適切な換気をおこなわなければ空気環境が悪くなる恐れがありますので、それを防ぐ為に「24時間換気システム」を設置することになったという訳です。この「全館換気」システムには、「一種、二種、三種」という三つの種類がありますが、全自動で機械的換気をおこなうシステムを「一種換気システム」といいます。これは全ての吸排気口に機械的換気装置が付き、24時間、室内と外の空気を常に入れ替え、空気を入れ替えるときに熱だけを交換する熱交換機能や、高性能フィルターにより空気清浄をおこなう機能等を有しています。費用の面で見ると、「一種換気システム」が一番高価で、「三種換気システム」が一番安価です。「全館換気」の機器には室内の温度調整をする機能はありませんので、「全館空調」の機器と比べれば費用面ではかなり安く設置できますが、温度調整については他の設備機器を使っておこなう必要があります。

全ての住宅設備機器に共通して言えますが、自己のライフスタイルにどの設備機器が合うのか、費用対効果の面ではどうなのかなどを建築会社とよく相談をして、適切な設備機器を決めることが大切です。また、機能面でだけでなく使いこなせるかどうかも良く検討する必要があります。

 

株式会社スタイルプランニング

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